片付けは全部自分が行うとガイに言われ、は2階の自分の部屋に戻って来ていた。
 最初こそ断っただったが、強い様子のガイに押され、結局こうして部屋に戻っている。
 自室にガイが居らず、自分だけが居るのは久しぶりだった。
 この状況にピンときたは、無言でパソコンを起動させる。
 そしてインターネットを開くと、あの男がくるまでは頻繁に足を運んでいたサイトを久しぶりに見る。
 そこはテイルズ オブ ジ アビスのイラストサイトで、とにかく人気のあるサイトだった。
 久しぶりに見たので更新がないかを確認し、それがあると知ると「Main」のコンテンツに飛び、イラストを見る。
 そして久しぶりに全てのイラストを見返そうと、フレームのメニュー部分をスクロールし、古いものから順に見ていく。
 そしてドアが開く音がし、閉まる音がする。その音はとても小さいものだったので、特別な訓練を受けているわけでもなく、さらには目の前のものに集中しているには気付くことが出来なかった。
 ドアを開けて閉めた人間がゆっくりと気配を消して近付いて来るのにも気付かず、は無言でイラストを見ていく。
 そしてその人間がの真後ろに来る。やはりは気付かない。
 その人間はが今見ているものを間近で視認し、
「――ルー、ク…?」
 呟き、を振り返らせることとなる。








「どうしてルークが…?いや、これはただの絵か…。」
「ガイ!どうしてここに――?」
「…片付けが終わったら戻るって、言っただろ。」
 それより、。いつもより数段低い声がをびくりと震わせる。
「どうしてルークの絵が――?」
「…どうして、って…。」
「…ずっと訊くのをためらっていたんだ。…でも、もうこんなことになったら――訊かないわけにはいかない。」
 ガイは言った。そして、
、お前は俺のことを知っていた。それは何故――?」
 訊いた。




 実際、今までガイが訊かなかったことが幸運だったのだ。しかしこうして訊かれてしまった今、には嘘を言うことも出来ず、真実を言うことも出来ない。
「……。」
 はただ黙る。ガイはそんなの肩を掴み、問い詰める。
「どうしてこんな風に俺のことを知っている人間が居るんだ?」
 は答えない。否、答えられない。
「……ッ!」
 に問い詰めることが無駄だと判断したのか、ガイはマウスを手に取り、他のイラストを見ていく。
「そんな…っ!」
 ガイにパソコンの使い方を教えなければよかった。は今更後悔するが、今ではもうその思いはなんの意味も持たない――――